日本共産党
前神奈川県議会議員

石田 和子

いしだ かずこ
くらしと平和 希望ある未来へ
石田 和子
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再生可能エネルギー等の分散型電源の導入促進などについて【社会問題対策特別委員会】

2021年10月17日

20211014県庁

 

10月6日、社会問題対策特別委員会が開催され、私は上記について質問しました。

質問時間は約20分間です。質問と答弁の要旨を報告します。答弁は産業労働局エネルギー課です。

令和3年6月に「地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律」

が施行され、基本理念に「2050年脱炭素社会の実現」を位置づけ、地方公共団体の実行計画に、再生可能エネルギーの利用促進、温室効果ガス削減などの活動の促進など、4施策について目標の設定を義務付けました。

【質問1】太陽光発電の導入促進について

産業労働局エネルギー課の当特別委員会・報告書P23に記載されている「再生可能エネルギーなどの分散型電源の導入促進」についてです。

「太陽光発電などの再生可能エネルギーの導入を促進する」との記述の中に、「2014年度以降は太陽光発電の新規導入量が減少していることから、固定価格買取制度の見直しなどにより、低下した導入マインドの回復多額の初期費用の負担軽減に向け、さらなる取り組みを進める必要がある」と書かれている。

2014年度以降の新規導入量が減少しているということだが、減少状況と減少した理由を伺う。住宅用太陽光発電を大量に普及するために、以前は太陽光パネルの単体の設置費補助があったが、見直しでなくなったことが、新規導入量が減少した要因になっていないのか伺う。合わせて、単体の設置費補助を行うべきと考えるが伺う。

【答弁】

〇 太陽光発電の新規導入量については、2012年度は15.2万kW、2013年度は26.8万kWと大幅に伸びたが、2014年度は15.4万kW、2015年度は10.5万kW、と減少していき、直近の2019年度も、未稼働案件の認定失効もあったため前年度からほぼ横ばいと、伸びていない状況である。

〇 理由は、太陽光発電は、2011年3月の東日本大震災を契機に導入の機運が高まったこと、また、2012年度に開始された固定価格買取制度により、導入が一気に進んだが、一方で、・再生可能エネルギーによる電力の買取に要する費用として電気代に上乗せされる「再生可能エネルギー発電促進賦課金」が増大し、国民負担が増加したことや・電力の需給バランスが崩れるといった電力系統の負荷が課題となった。

〇 そうした中、・再生可能エネルギー由来の電力を電力系統に接続することを制限したいわゆる「九電ショック」が2014年に起こり、太陽光発電は電力の安定供給に悪影響を与えるといった、間違った悪いイメージを持たれてしまったこと・また、固定価格買取制度による買取価格が年々安くなってきたことなどにより、導入マインドが低下したことで新規導入量が減少し、現在も大きな伸びが見られない状況になっている。

〇 次に、2009年度に開始した県の住宅用の太陽光発電の設置に対する補助は、2012年度に開始された固定価格買取制度が、設置コストを売電収入等で回収できるように買取価格・期間を設定したことから、その役割を終えたものと判断し、2012年度で終了したが、新規導入量の減少の要因とは考えていない。

〇 また、現在は、市場価格よりも安い費用で購入できる「共同購入事業」と、住宅所有者が初期費用の負担なしで設置できる「0円ソーラー」に取り組んでおり、導入の初期費用を抑えることができることから、太陽光発電単体の設置費補助を再度行うことは考えていない。

【質問2】固定価格制度をどのように見直すのか

報告では、「再生可能エネルギー電力の固定価格買取制度を見直す」と書かれているが、どのように見直すのか、地域の多様な取り組みを促進するよう見直すのか伺う。

【答弁】

〇 国の制度である固定価格買取制度については、再生可能エネルギーの設置に対するインセンティブとなるものの、その買取費用は「再生可能エネルギー発電促進賦課金」として、国民の電気代に上乗せされているので、買取量が増えることによって、国民負担も増大してきている。

〇 制度が始まった当初、平均的な家庭の年間負担額は数百円だったが、現在は1万円を超えるようになっている。

〇 賦課金の増大により、国民負担の抑制を図る必要が生じ、国が制度の見直しを行い、来年度(2022年4月)からは、固定価格買取制度に加え、再エネの導入が進む欧州などが取り入れている、電力需要に応じて変動する市場価格に一定のプレミアムを上乗せするFIP制度が創設されることとなっている。

〇 また、レジリエンスの強化・エネルギーの地産地消に資するよう、電源の立地制約等の特性に応じ、FIT認定の要件として、自家消費や地域一体的な活用を促す地域活用要件が設定されている。

【質問3】多額の初期費用の負担軽減の取組みについて伺う。

【答弁】

〇 国の資料によると、住宅に太陽光発電の設置を希望しない理由として最も多いのが「初期(投資)費用が高いため」である。

〇 そこで、初期費用の負担を軽減するために、購入希望者を募り、一括して発注することで、スケールメリットを活かし、市場価格よりも安い費用で購入できる「共同購入事業」を令和元年度に開始した。

〇 しかしながら、市場価格より安い費用であっても、どうしても初期費用の負担が難しく、設置をあきらめている方もいると思われることから、令和2年度に、住宅所有者が初期費用の負担なしで設置できる「住宅用0円ソーラー」に対する補助を開始した。

〇 また、事業所用については、固定価格買取制度による買取に伴う国民負担の増加や、電力系統(送電線)の負荷への対応の問題が生じない、電気を作った場所で使う、自家消費型の太陽光発電の設置に対して補助を行っている。

【質問4】近年、激甚化する自然災害による停電への備え

2018年9月の北海道胆振東部地震で起こった全道停電では、大規模集中発電の危うさと分散型への転換の必要性を浮き彫りにしました。

首都圏での大規模災害時には、復旧支援が大幅に不足する可能性が指摘されています。 2019年の台風では、千葉県千葉市で長期の大規模停電が起きました。その時に太陽光発電や蓄電池が活躍したと言われています。

気候変動により災害が激甚化し、しかも頻発して起きている今、災害時のエネルギー確保は県民の切実な願いです。

県は、「県内の年間電力消費量に対する分散型電源による発電量の割合」を2030年度に45%を目指すとしているとしているが、災害時のエネルギー確保戦略も必要と考えますが伺います。

【答弁】

〇 災害時の対応については、電源確保も含め、くらし安全防災局で策定する地域防災計画で定められていると承知している。

〇 その中には、「災害時に電気を供給することができる太陽光発電設備などの導入」等も位置付けられている。

【質問5】避難所になる全公共施設に太陽光パネルと蓄電池の設置を

県は、2050年までに全県有施設における再生可能エネルギー利用にむけた取り組みを行うとしていますが、特に災害時に避難所になる小中学校、高校、県立特別支援学校、県民利用施設の未設置の場所への太陽光発電と蓄電池の設置を早期に進めるべきと考えますが伺います。

【答弁】

〇 避難所は、市町村が指定・開設するものだが、くらし安全防災局において、避難所運営に必要な物品の購入に対する補助を行っている。

〇 しかしながら、再生可能エネルギーの導入促進の一環として、エネルギー課においても、国補助を活用して、防災拠点や避難所等として位置付けている施設への太陽光発電設備等の導入を進めている

〇 令和元(2019)年度には、5つの県有施設に太陽光発電設備及び蓄電池を導入したほか、今年度(令和3年度)は相模原市内の県立高校に導入する予定である。

【質問6】そのためには年次計画が必要と思いますが伺う。

【答弁】

〇 県有施設は、状況によって、施設の統廃合や、用途の変更などが必要になることもある。そのため、事前に複数年の計画を立てて導入するのではなく、毎年度、設置可能な施設を調査した上で、県財政の負担軽減も考慮し、国補助の状況も踏まえて、設置を進めている。

【質問7】公共施設から脱炭素を進める必要がある

官公庁、学校など公共建築で、太陽光パネルで消費エネルギーが賄える「ネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)」 を実現するなど、公共施設から脱炭素を進めることが必要と考えるが伺う。

「答弁」

〇 県では、「かながわスマートエネルギー計画」を推進するため、県有施設を整備する際の「基本方針」を定めている。この中で、築及び建て替えを実施する施設は、太陽光発電設備を設置することに加え、原則として、国の補助を活用してZEBを導入することとしている。

〇 「基本方針」に基づき、県有施設の新築及び建て替え時には、可能な限りZEB化を進めていきたいと考えている

 

【質問8】発電量における分散型電源の割合をより高い目標設定に

再生可能エネルギーの導入が進むほど価格は下がっており、新設の発電コストを電源別に比較すると2030年度には太陽光発電が最も安くなると国が示しており、その潜在的可能性を組み尽くす再生可能エネルギーへの大転換が必要と思います。日本の発電量における再生可能エネルギーの比率は、2019年度は18%であり、国は、2030年度までにこの比率を36%〜38%を目標にするとの案を示しています。

しかし、諸外国の目標はドイツは65%に、スペインは74%、EU全体で57%など高い目標を掲げています。そこで、県の数値目標は、再エネだけではなく、分散型電源による発電量の割合と承知していますが、直近の実績を伺いたい。また、「地球温暖化対策計画」の全面的な見直しの際には、2030年度にむけて発電量における分散型電源の割合を、より前向きに、高い目標を設定すべきと考えるが、考えを伺う。

【答弁】

〇 直近2019年度の「分散型電源による発電量の割合」の実績は、「18.6%」である。

〇 2030年度に、分散型電源による発電量の割合を45%にするとの目標は、都市化が進んでおり、風力発電や小水力発電等の導入ポテンシャルが低い本県にとっては、非常に高い目標となっている。今後、世界的な潮流や国の動きのほか、中間目標である2020年度の実績等、様々、検討する必要があるが、現時点では、2030年度の最終目標の見直しについては、考えていない

【質問9】脱炭素は戦略的に最重要の課題、予算の大幅増額を!

「かながわスマートエネルギー計画を推進する」として、再生可能エネルギーなどの導入加速化、安定した分散型エネルギー源の導入拡大などとした、いくつかの補助メニューと令和3年度の当初予算額・4億6500余万円が示されています。

「2050年脱炭素社会の実現」のためには、2030年度までの1年1年の確実な取り組みの促進が必要です。戦略的に最重要な課題として位置付け、今後の予算について、大幅増額が必要と考えますが、見解を伺います。

【答弁】

〇 国が2050年カーボンニュートラルを宣言したこと、2030年度に温室効果ガスの排出量を2013年度比で46%削減する目標を表明したこと等から、「かながわスマートエネルギー計画」に基づき、再生可能エネルギー等の分散型電源を導入する取組を一層進めていくことは重要である。

〇 一方で、厳しい財政状況や、コロナの感染状況がどうなるか見通せない状況でもあるので、今後の予算編成等の中で検討していく。

「意見要望」

県は国に先駆けて2019年11月に「2050年脱炭素社会の実現」を表明した。この10年が気候危機を防ぐ上で決定的に重要な意味をもつ。2030年までのC02削減に人類と地球の未来がかかっていると言っても過言ではない。

「かながわスマートエネルギー計画の推進」の基本政策に、再エネの導入加速化、省エネの拡大、エネルギーの地産地消するコミニュティーの形成、エネルギーの関連産業の育成と振興が掲載されている。地産地消では、農地の耕作放棄地の上にソーラーパネルを設置し、農業とソーラーシェアリングの取り組みが県内にある。こうした取り組みへの支援と拡大を要望する。

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