このまちで子育て このまちレポート

滋賀県・社会福祉協議会の子ども食堂推進事業等を学びました (視察3日目、11/16)

2016年11月23日

浜大津市のホテルから徒歩で滋賀県庁へ、午前9時から10時までレクをうけました。

【滋賀県の「遊べる・学べる・淡海子ども食堂推進事業」について】

DSC_0523滋賀県の子ども食堂の取組は、貧困対策ではなく、人間関係を地域のなかでつくる。地域の中で顔の見える関係をつくること。しんどさを抱える子どもたち、悩みをだれにも相談出来ない子どもたちの居場所づくりであり、社会福祉協議会、自治会などが行なう主体的な取組を県が事業として立ち上げたとのことです。

事業の開設準備講座を今年は4回程実施、交流会も年3〜4回実施しているとのことです。子ども食堂は昨年度は16カ所で、今年は現在38カ所で行なっているが52カ所まで拡大したいと考えている。そして来年度は70カ所、平成30年度には100カ所までつくっていきたいとのことです。子ども食堂の開設は月1回の所、週1回の所、夏休みと冬休みに実施する所など様々で、その団体の自主性を尊重しているとのことです。

支援者調査を実施

滋賀県は、子どもの貧困対策のために、支援者調査を行っていることが特徴です。保育所、小、中、高等学校、地域子育て支援センター、スクールカウンセラー、ソーシャルワーカー、学童、市町の母子保健担当、児童家庭福祉課、生活保護担当、ひとり親家庭福祉担当、子ども関連NPOなどを対象に実施しています。調査のまとめとして「支援者の多くが保護者との関係づくりを困難と考えていること.支援者同士の連携による成功例がありつつも職場内、職場外連携は十分には浸透していないことなどが明らかになった。子どもの貧困をめぐる支援者のあり方として、今後はアウトリーチ型の支援の強化や、悩みを共有できる職場環境づくり、多職種連携の推進等が課題といえます」と書かれています。滋賀県と龍谷大学によってまとめられています。

移動して事業の実施主体である滋賀県社会福祉協議会に行きました。

【滋賀県社会福祉協議会の「滋賀の緑・創造実践センター」・「子ども食堂推進事業」について】
「おめでとう」から「ありがとう」まで一人ひとりだれもが大事にされる地域をめざして
社会福祉協議会の「滋賀の緑創造実践センター」は、社会福祉の父といわれる糸賀一雄先生の生誕100年の平成26年に設立された5年間のプロジェクト事業です。設立趣意は「*少子高齢化への不安と共に、重なり合う生活課題を抱えながら支援につながらない人々、ニーズに対応したサービスがないなど社会的孤立や生活困窮が拡がっています。*滋賀の民間福祉関係者は、この問題を見逃さず滋賀に暮らすひとりひとりだれもが、「おめでとう」と誕生を祝福され「ありがとう」と看取られるまで、ふだんのくらしのしあわせ(ふくし)が保障される社会をつくりたいと考えます。*このことを自らの実践により実現しようと、民間福祉関係者が分野や立場を超えてつながり.地域住民とともに社会とつながっていない人々の縁を紡ぎなおし生き生きと地域のなかで暮らせるよう支援する仕組みと実践を県下にくまなくつくっていくための推進母体として「滋賀の緑創造実践センターを設立しました」とあります。

〈子どもの笑顔を育むコミュニティー作りを柱に〉
「縁センター」のポイントの1は子どもの貧困対策が豊かな滋賀づくりの肝であるとの認識のもと、滋賀の子どもが一人ももれなく「ふくし」(ふだんのくらしのしあわせ)を感じられる社会をつくっていこう「子どもの笑顔を育むコミュニティーづくり」を柱に掲げました。

〈「子どもの貧困」の実態を聴くことからはじまった〉
スクールソーシャルワーカーや保育士、家庭児童相談室の相談員から聴いた実態は「長期休みになると体重が減ってしまう子ども」「白ご飯に塩が毎日の晩ご飯」など貧困、孤立、虐待のなかで子ども時代を過ごしている子どもがいるという事実.一人の大人として放っておけないと強く感じた。聞き取り調査を行うことが、以下の考えを導きだしたんだと思いました。

〈目の前にいる一人の子どもを大事にすることから〉
・教育・食・居場所の確保
・経済的支援
・人の温かさに触れる体験が大切
・親への批判や避難は、困っている家庭をさらに孤立させてしまう。

〈信頼できるおとなにつながったとき、子どもの未来が大きく変わる〉

【遊べる・学べる淡海子ども食堂 推進事業】はじまる

淡海子ども食堂は、子どもが安心出来るおとなのなかで温かいご飯を食べて、宿題をしたり、遊んだり、安心して過ごせる地域の居場所であり、ここでは、子どもも、働く世代も、高齢者世代も、皆が主役。寂しさやしんどさを抱える子どもたちを地域で見守り、育み、地域ぐるみで子どもを大切にするとりくみです。緑センター会員の組織的な取組として滋賀県内に広げていくことを目的とし、小学校の数だけつくっていこうと平成27年の夏からモデル事業を開始.目標は300カ所としています。

滋賀の子ども食堂は「どの子もおいで!」という来やすいラシをつくり広く呼びかけ、子どもが一人でも友達とも、お母さんやお父さんとでも近所の人とでも気軽にこれる場所です。
1事業所に初年度は20万円、2年度以降は10万円です.食材の確保として、フードバンク滋賀の取組もあるとのことです。実施団体は様々です.社会福祉法人、母子福祉会、まちづくり協議会、任意団体、自治会などです。
そして対象も「小学生から中学生、親子でも可」「小学生、中学生、高齢者」「子どもたちと地域住民」「市内ひとり親家庭の親子」「孤食の児童を中心に独居の高齢者、中学生含む」など、それぞれです。

〈研修の大切さを感じました〉
大切なのは、この事業を行う根本的な福祉の考え、子ども感、目的等が理論付けされ、根本理念が共通認識になっていることです。そのことを質問すると事務局長さんは「相当研修を行ないました」と言っておられました。

〈実態調査の大切さを感じました〉
さらにこの活動に取り組む中で、子どもの貧困問題の見えにくさ、孤立や困窮の実態の見えにくさ、困りごとを抱えた世帯へのアプローチへの難しさが課題としてでてきたが、これは日頃から民生委員児童委員の方達が感じていたことでもあった.そこで統計的にも高いとされる母子世帯を中心に必要な支援がどのように得られているのか、また、支援につながリにくい家庭への支援の工夫・強化に生かそうという思いから調査を実施したとのことです.県内の民生児童委員さんが担当地域内の母子世帯の中から1世帯を目安に調査票を配布し郵送で改修するという方法で実施したとのこと。

滋賀県社会福祉協議会の取組はすばらしいと思いました。