議会活動報告

沖縄県の子どもの貧困対策を学んできました

2018年1月29日

23日、沖縄県庁に行き、子ども未来政策課の課長さんよりレクチャーを受けました。沖縄は長い間、米軍の支配下におかれ、厳しい経済雇用情勢が家計を圧迫します.沖縄県は全国に先駆けて子どもの貧困の実態調査を行いました.そこで判明したのは、子どもの3人に一人、(貧困率・29,9%)が貧困状態ということでした。昨年公表された日本の2015年時のこどもの貧困率13,9%(7人に一人)と比較して、沖縄県の子どもの貧困の実態が非常に高い事が明らかになりました。なかでもひとり親家庭の貧困率は、国が50,8%に対し、沖縄県は58,9%と非常に高い水準にあります。

〈この調査で明らかになった実態〉

就学援助について、実態調査の結果、貧困層の小学1年生の保護者のうち57%、小学5年生で52%、中学2年生で45%が就学援助を利用していない事がわかったといいますが、この数字は大阪子ども調査では、小学5年生で23%、中学2年生で18%であることから、子どもの貧困率が大変高いのに、沖縄県が就学援助を受けていない家庭がかなり高い事がわかったといいます。その理由として、貧困世帯のうち就学援助を知らなかったとの保護者の回答は、小学1年生23%、小学5年生と中学2年生はそれぞれ20%でした。

また、過去1年間に経済的な理由で、食料を買えなかったことが,「よくあった」「時々あった」「あった」(食料困窮体験)は、25%から30%にのぼります。貧困層ではどの学年でも合計で50%程の保護者が食料の困窮経験があったとしています。こうした深刻な実態から2016年度に「沖縄県子どもの貧困対策計画」を策定、2017年4月から職員9名体制の「子ども未来政策室」を設置、同年11月には11名体制の「子ども未来政策課」を設置、うち、重要なポイントは県の教育委員会の併人職員2名を配置し、学校におけるこどもの貧困の現状への対応をきめ細かにおこなっていることです。2018年度には12名体制にする計画との事です。

〈主な事業は、子どもの支援員と居場所〉

沖縄子どもの貧困緊急対策事業として内閣府が年11億の補助を、うち28市町村に支援員を117人配置、こどもの居場所の設置は現在、県及び26市町村に127カ所設置されています。支援員は個々の貧困家庭の実態に応じた支援をおこなっているとのことです。居場所は地域の実情に応じて、食事の提供や共同で調理を行ったり、生活指導や学習支援を行います.放課後から深夜まで開所も視野に入れています.夜7時以降も開所している居場所は49カ所です。担当課長さんは、居場所を必要としているすべての子どもを対象とするとしています。

子どもへのアンケート調査で、「支援員さんにあってからおちつくようになって、メールで相談に乗ってくれたり学校まで一緒に行ってくれたりして感謝している」「支援員と合うようになって、前向きに明るくのびのびとすごしている。相談しながら1日、1日楽しくすごして幸せです」また、居場所についてのアンケートでは「料理で野菜を切って、やく事もできるようになった。土曜日、一人で食べていたけど、居場所のみんなと食べれるようになった」。

保護者回答では、「サポートがなければ、今の私たち親子は生きていなかったかもしれません。診療内科にも行く事ができて親子2人、日々葛藤はあり精神的にも波はありますが、常に温かく親身にサポートしてくださり、ありがたいと思っています.生保もうけられ、まだ、実際きつい生活ですが助かっています」

〈その他の事業県事業の支援コーディネーター配置事業、県立高0001校の居場所づくり運営支援事業、大学生ボランティアコーディネート事業、沖縄県子どもの貧困対策推進基金事業等を行っています。この基金の事業として就学援助の充実を図るとして、県民に周知する事が必要として、テレビコマーシャルでお知らせしています。課長さんは、生活保護は施しではなく使っていただく制度として周知に力を入れているとの事で、これはすごいと思いました。

「沖縄子どもの未来県民会議」を2016年に設置、翁長県知事を会長として、国、県、市町村、経済団体、労働団体、福祉医療保険教育関係団体を持って構成。県民会議の目標を掲げています。

▲2022年までの当面の目標として、一人当たり県民所得の増加:271万円程度、就職相談から就職に結びついたひとり親家庭の数;累計800世帯、希望する大学に進学する子どもの増加;高校進学率98,5%、高校卒業後の進路未決定率4,4%等具体目標をあげています。」

▲2030年までにすべての子どもが安心して過ごせる居場所をつくるとともに、子どもの貧困率10%をめざし、子どもが夢や希望を持って成長していける社会を実現する。▲長期的なゴールとして、2030年までに子どもの貧困の問題を解消するとしています。

翁長県知事の強い意志を感じますし、担当の課長さんの熱意が私たちにもびんびん伝わってきました。