日本共産党
前神奈川県議会議員

石田 和子

いしだ かずこ
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石田 和子
ブログ

もうすぐ始まる保育の無償化の2つの課題&県として保育士の処遇改善を!県議会一般質問その①

2019年9月27日

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9月18日、県議会で初めての一般質問に立ちました。遅くなりましたが報告します。
あと4日後から幼児教育・保育の無償化が始まりますが、二つの課題への対応策。および県として抜本的な保育士の処遇改善を求めて質問しました。以下は要旨です。

課題のひとつは、新たに生じる保育所の副食費の実費負担についてです

3歳から5歳児のおかずやおやつ代に当たる副食費が実費徴収されることになりますが、「無償化」というのであれば本来、給食費も含め幼稚園・保育所の費用は全額無償化にすべきとの声が寄せられ、負担増が懸念されています。

これまで保育料が免除されていた生活保護世帯等に加え、年収360万円未満の世帯は、負担増にならないよう、副食費が免除されますが、負担増にならないのは、国基準の保育料を前提にした場合であり、多くの自治体で国基準の保育料に独自の財源を上乗せして保護者負担を抑えているので、自治体が何らかの手当てをしなければ、低所得世帯で負担増になる可能性があります。

幼児教育・保育が無償化される10月を前に、単独補助事業を創設し、箱根町や山北町など保育所の副食費を無償化等する自治体が広がっており、秋田県も助成事業を行うとのこと。

そこで、保育所の副食費について、県として、子育てにかかる経済的負担の軽減を図るため、助成制度の創設を検討すべきと考えるが、見解を伺いたい。

 

黒岩知事の答弁は
保育所における給食の副食費、いわゆるおかず代は、これまで、保護者が支払う保育料に含まれており、保護者負担となっていましたが、来月から保育料が無償化された後も、引き続き保護者負担となります。

保育料は、各市町村が定めており、所得が低ければ保育料が低くなるよう設定していました。そのため、低所得者の場合、副食費がこれまで支払っていた保育料より高くなってしまうことがあります。

そこで、国は、年収360万円未満の低所得者については、副食費の支払いを免除することにしました。また、年収360万円以上でも、無償化後に負担増となる場合には、国の要請を受け、県内市町村で、独自に補助を行う動きが出ています。
保護者が副食費を負担することは、今までと変わりがなく、低所得者への配慮もされていることから、県としては、新たな助成制度をつくる考えはありません。と残念な答弁でした。

私から県内格差が生じないよう県として副食費の無償化の検討を要望しました

保育園の給食は国の保育所保育指針において、保育の一端として位置づけています。10月を前にして、経済的な負担軽減、保育所の徴収事務の負担軽減などの理由で、副食費の無償化や一部補助、対象拡大などに取り組む自治体が増加してきています。県内どの自治体に住んでいても、格差が生じないよう、広域自治体として副食費を無償化にするよう、ぜひ検討を要望しました。

 

課題の二つは、指導監督基準を満たさない認可外保育施設への県の指導体制の充実についてです

基準に違反し、監査で是正指導を受けても、なぜ5年間も猶予されるのか

認可外保育施設の無償化の対象は、「認可外保育施設指導監督基準」―(保育士割合を3分の1以上とすること、乳幼児や職員の健康診断の実施、消防計画の策定や月1回の消火と避難訓練の実施など)を満たすことを要件としていますが、基準を満たさず是正指導を受けても5年間は無償化の対象となる経過措置が設けられました。しかし、子供の安全や保育の質の観点から5年の猶予期間を設けたことに地方自治体や保育関係者の方々から強い懸念が示された結果、指導権限がある市町村が、条例によって猶予期間を短くしたり、対象範囲を限定することが可能となる仕組みが作られ、今、多くの自治体で条例化に向けた取り組みが検討され始めています。

条例をつくり、無償化の範囲を限定したり、猶予期間を短くすることが可能に

一方、是正指導や勧告を何度も受けても、指導監督基準の違反が続き、改善が認められないなど、県が指摘した場合には、市町村が無償化の対象をはずすことになります。

内閣府は国会答弁で「今般の無償化を契機として、認可外保育施設の質の確保、向上を図ることが必要であり、都道府県などによる指導監督基準の徹底を図っていくこととしている」と答えています。

一刻も早く基準を守らせるために正規職員を増員配置するべきと質問

本県の政令市と横須賀市を除く認可外保育施設は200ヶ所以上ありますが、県は5年の間にすべての認可外の施設に指導監督基準を守らせるため、非常勤職員を3人増員して体制の強化を図ったとのことです。また、監査とは別に、重大事故防止のために巡回指導員の保育士を3人配置したとのことですが、県として指導監督権限を積極的に行使するためには、監査部門の体制の更なる充実が欠かせないと考えます。

そこで知事に伺います。猶予期間の間に一刻も早く認可外保育施設に指導監督基準を守らせるため、重要な役割を担うスタッフを正規職員体制として更に増員すべきと考えますが、見解を伺います。

知事は、
平成30年度の監査では県所管の認可外保育施設の内、約70施設が基準を満たしておらず、今後5年間の経過措置期間中に改善する必要があります。
そこで県では、監査で基準を満たさない認可外保育施設に対してフォローアップ指導を行う非常勤職員を、今年度新たに3名配置しました。
県としては、引き続き現在の体制のもと、保護者が安心して子供を預けられるよう、認可外保育施設の質の確保にしっかりと取り組んでまいります。と答弁しました。

そこで私は再質問しました
厚労省は、この認可外保育施設設置基準は「児童の安全確保の観点から劣悪な施設を排除するもの」と言っている。5年間の猶予があるからといって、劣悪な施設のままであってはならない。今回の無償化はベビーホテルやベビーシッターも含まれている。厚労省の調査によると、2016年度の監査では、ベビーホテルの44%しか指導監督基準を満たしていない。安全確保への配慮などの項目で基準をクリアしていない。ことは子供の命と安全がかかっている。何か起こってからでは遅すぎます。ベビーホテルやベビーシッターまでとなれば、さらに監査対象の施設は増えるのだからさらなる監査体制の強化は必要。専門性のある正規職員の増員配置すべきと指摘し、知事の見解を再度伺うと質しました。

知事は
認可外保育施設であるベビーホテル、ベビーシッターを含め、監査やフォローアップ指導ができる体制を取っております。そのため、引き続き現在の体制で認可外保育施設の質の確保にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。と増員する考えはないと答弁。

*本当に大丈夫かと言いたいと思いますし、今後注視していきます。

○保育士の処遇改善について

今、保育士の処遇改善や確保が、待機児解消にとっても急務となっています。
全国福祉保育労働組合が保育士におこなった調査では、「アルバイトをしている子どもの時給と比較しても変わらない。保育の仕事を軽く見過ぎです」など、厳しい実態が明らかになっています。そうした中で、独自に処遇改善の加算を行なっている横浜市や東京都などに保育士が流れてしまい、隣接する自治体の保育関係者から、県として処遇改善策を実施してほしいという声が寄せられています。

神奈川県市長会からも、今年の8月26日、県への重点要望として保育士処遇改善の要望が提出されました。保育士確保等の課題に直面しており、県においては自治体間の格差を生じさせないよう、保育士給与の上乗せ補助などの保育士処遇改善のため、責任を持った取り組みが求められています。

千葉県では保育士の確保定着対策をいっそう推進し県内の保育環境の改善を図るためとして、県内市町村が行う保育士の処遇改善にかかる事業に対してその2分の1、政令市は4分の1を補助する制度を2017年度から実施しています。

そこで知事に伺います。県として、自治体間の格差を生じさせないために、県独自の保育士の処遇改善のための補助を実施すべきと考えますが、見解を伺います。

 

知事は
待機児童を解消するためには保育士の確保が喫緊の課題であり、そのために保育士の処遇改善は重要です。そこで、県はこれまでも国に対して保育士賃金の引上げなど、処遇改善について要望してきており、令和元年度までの7年間で約13%の賃金引き上げが実現しました。加えて、平成29年度からは、専門分野の研修を修了した保育士に対し、月額で最大4万円の処遇改善を行ってきています。

このように、保育士の賃金は改善してきていますが、全職種平均と比べるとまだ差があることから、さらなる賃金水準の改善が必要です。保育士の処遇改善は自治体間のさらなる賃金格差を生まないためにも、国全体の制度設計において取り組むべきものと考えます。

県としては引き続き、基本給の底上げなど、他の職種の賃金水準を踏まえたさらなる処遇改善が図られるよう、機会をとらえて国に要望してまいります。答弁は以上です。

そこで私は再質問しました

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基本給与など給与全体の底上げのため抜本的な公定価格の増額を国に求めると捉えてよいか再質問しました。

知事は
保育士の処遇改善についてでありますけれども、これまでも基本給の底上げなど、他の職種の給与水準を踏まえた改善を要望してきておりまして、引き続き、給与全体の改善を要望してまいります。答弁は以上です。

そこで私は、県として保育士給与の上乗せ補助を要望しました

保育士の処遇改善について要望します。
保育士の賃金はこの間、国や自治体が処遇改善を行ってきたものの、全産業の労働者と比較して約10万円ほど低く、女性労働者の平均にもまだ及んでおりません。保育士が確保できないと待機児は解消できないこと、保育の質の確保のためには保育所職員が安定的に働き続けられる環境と専門職にふさわしい賃金が必要でございます。

今、知事のご答弁のように国に基本給含めて、全体の給与ということを要望していただくということと併せまして、県の市長会からの要望も重く受け止めて、自治体間の格差を生じさせないよう、県として保育士給与の上乗せ補助を行うことを要望いたします。

知事の答弁は、国に要望するにとどまりました。また、「平成29年度から専門分野の研修を終了した保育士に対し最大4万円の処遇改善を行ってきている」と言われたのは、経験7年以上の処遇改善のことですが、7年以上の経験者が複数いる保育園では1万円のアップしかならないところもあるなど、根本的な処遇改善にはほど遠いと言わざるを得ません。私は、かねてから、基本給など給与全体を大幅に引き上げるために、公定価格の抜本的な増額こそ必要と主張してきました。県は、国に要望と同時に、広域自治体として千葉県のような独自の処遇改善策を取るべきと思います。

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