議会活動報告

公立の宿泊型フリースクール・兵庫県立神出学園を訪問、感動しました。

2018年4月21日

自然豊かな4月17日、1994年に日本初の公立の宿泊型フリースクールとして誕生し、多くの若者たちが自立して巣立っていった兵庫県立神出学園。18日午前、「認知症にやさしいまち大賞」に選ばれた和歌山県御坊市。午後は奈良県の大和郡山市の不登校対策を、3つの県にまたがって議員団で視察してきました。とても勉強になる充実した視察でした。ひとつずつ報告したいと思います。

「不登校・ひきこもりから元気回復 そして生き方さがし」

自然豊かな環境の中で自分を発見する 神出学園の取り組み

神戸市の西部「神出富士」とも呼ばれる山の姿が美しい雌岡山(めっこうさん)の西チロリ風の向き斜面の裾野の丘陵地が神出学園のキャンバスです。農業大学の移転後の跡地だそうですが、5.6ヘクタールの広大な自然に抱かれ、しゃれた洋風のチロル風の(学校のイメージを全く感じさせない建物にするためにチロル風にしたそうです)本館、男子寮、女子寮、食堂、体育館が点在し、農園がひろがり、ポニーや羊、ウサギ、いぬが飼育される牧場が広がります。大きな樹々が緑となってそそりたっています。まず、この自然豊かな環境に圧倒され、気持ちが開放され心地よくなりました。

校長先生から、説明を受けそのあと園内を案内していただきました。

学園で生活しているのは学校に適応できず不登校などになった中学卒業から22歳までの兵庫県在住の若者たちです。ゆったりとした時間の流れの中で、多才な体験プログラムを通して自然と関わり、創造する喜びを見いだし、また寮で共同生活を送りながら多くの仲間やスタッフと交流を重ね、やがて自らの生き方を発見していきます。2017年度までの23年間に656人の修了生が、自信と元気を取り戻して羽ばたいていったとのことです。月曜から木曜日の午前まで過ごし、午後から日曜日までは家族のもとに帰宅するのだそうです。家族や地域とのつながりを保ちながら生活する事はとても大切と思いました。基本的には2年間で卒業しますが、3年までは在園を延長できるとのことです。

学園での生活で最も大切にしているのは、心に寄添い個に応じた支援を行う事が基本、一人一人の今の気持ちをくむこと。決してこうしなさいと押し付けない。最初はひたすらその気持ちになるのを「待つ!」んだそうです。また、些細な事を積み重ねる、スモールステップを重ね、失敗体験もしながら、失敗を受け止め、自己有用感を育む事を大切にしている。そう話される校長先生の熱い思いが本当に伝わってきます。

1週間のプログラム(3泊4日)は、農園、動物飼育・乗馬、料理、ガーデニング、華道、美術工芸、書道、ミュージック、茶道、チャレンジスポーツなど、とても多彩なプログラムが曜日でくまれています。

支援するスタッフは、生活・進路を担当する教務スタッフは県教育委員会の指導主事が7人、カウンセリングをになう心理カウンセラーが3人、寮生活を支援する生活指導員が4人、医師と看護師1人ずつとのことです。専門スタッフが一人一人の将来について丁寧にアドバイス、学習を支援しています。学園の生活をとおして、自分を振り返る。対人関係をもつ。進路を発見する.そして、定時制高校に進学したり、通信制高等学校、大学や短大に進学、就職やアルバイト、福祉就労につく人等それぞれの進路を見つけ巣立っていかれるとのことです。

日課の中で、これだけは、必ず守る時間として、本館で9時10分から午前のプログラムが開始されるので9時に寮をでる。夕食後19時から自由時間ですが、21時には寮に帰る事。23時消灯。ただし、月曜日は時間を厳守しなくてよいことになっているとのこと。夕方になってぼちぼちくる方もいるそうです。寮生活をとおして、自立心や自主性、対人関係のスキルを学び、悩みを共感しお互いを知り高め合う関係が徐々につくられていくのだそうです。

そして卒業式で、学園生が作詞した歌を合唱する時には、その思CIMG2742 (002)いが歌詞にこめられていて校長先生も、保護者の方々も感動の涙があふれるとのことでした。

食堂がとても立派なのには驚きました。メニューも写真付きで表示されていて、とても美味しそう!テーブルもシャンデリアもどっしりとして、心と体を育む「食事」が大切にされている事が雰囲気で伝わってきます。

農園や動物の飼育されている場所、放牧されている動物、美術工芸の作業場等、説明を受メタセコイアの実でけながらみせていただきました。松ぼっくりに似ていますが、それとはちがう「メタセコイア」という木の実で、おおきな恐竜の作品がおかれていて圧巻でした。

一人一人、何らかの理由で学校に行けなくなった子どもたちが思春期、自己を見つめる時に、これではいけないと自ら考えて神出学園に入学する.その子どもたち、若者たちに寄添い、気持ちを尊重し、待つ。一人一人を大切にする人間愛を感じました。ここで元気を回復し巣立っていく事はとても社会に必要なことです。この取り組みが、公立として存在し公的に支え、守られている事に敬意です。神奈川県内でも自然豊かな場所にこうした取り組みが必要だと思いました。