議会活動報告

「認知症にやさしいまち大賞」を受賞した和歌山県御坊市のとりくみを学んできました

2018年4月21日

CIMG2753(1)18日午前は御坊市役所で当事者のみなさんが選んだという「認知症にやさしいまち大賞」に輝いたその取り組みを伺いました。

国の政策を具体化した「御坊市まち・ひと・しごと創生総合戦略」「ごぼう総活躍のまちづくりプロジェクト」のなかで、認知症対策を抜きに戦略は進まない!(地方創生は実現できない)と位置づけた。御坊市の花は「スターチス」。その花言葉は「途絶えぬ記憶」「変わらぬ心」「永久不変」であり、スターチスがまさにシンボルになるのではと思って、「認知症になっても、その人自身である事に変わりはない」としました。

0001出荷をすぎたスターチスを栽培農家の方から無償でいただいたので、認知症の方々の活動として、収穫や花束の作成等を行ったところ、役に立つ喜びから、もっと役に立ちたい!やれることをやっていきたいという意欲がとても見られた。みなさんが作られたスターチスのカードをいただいてきました。

認知症と診断され、塞ぎがちのご主人(Nさん)のことを地域の人に知ってもらいたいという妻の思いを、行政や認知症コーディネーターが受けとめて、どう関わって応えていったのか・・DVDを見ながら報告をしていただきました。

妻の知人を頼りに地域の人たちと話ができないか検討、地域の女性みんなに声をかけてみるよといってくれ、その日は集会場に16名の女性たちが集ってくれた。そこで「夫は認知症です.でも夫であることに代わりありません」奥さんのお話を聞いて集った方々から、他人事ではない.今度ご主人の顔を見に行くよ。今日は楽しかった.次も集る?じゃ、毎月第1金曜日に集会場へ集ろう。会の名前を昔集っていた〈むつみ会〉復活で。と決まったという事です。ここにくれば楽しくて安心できる場所であればいいねとなった。

むつみ会が消滅したのは、中心となってやっていた方が亡くなったからという事ですが、現在、施設に入居されているその方の奥さんに介護福祉士のかたが、むつみ会やかつての地域の方々のお話をすると、今まで見られなかった生き生きとした表情や会話がはずんだ。復活したむつみ会に参加。その会には、Nさんも参加されていて、地域のみなさんの懐かしい表情や会話が映像から伝わってきました。特に、Nさんが、一人一人の顔を食い入るように見ながら懐かしげにそして確かめるように見つめる表情を、カメラがしっかり捉えていて本当に印象的で、涙がでました。

もう一人、事故の心配がある認知症の方の車の運転について、ご本人の気持ちに沿いながら、認知症対応型のデイサービスにつなげられないか検討。認知症デイサービス事業所が本人の職業だった大工の腕前を発揮してもらえる活動を考えて提案。「ワシガみんなの役に立つのならどこにでもいくよ」とその方の居場所ができて、地域で活躍しているとの事です。

強調されたのは、ご本人の気持ちを大切にする、本人本位ということ.そのために、「本人ミーティング」に取り組んでおられます。スタッフが本人の思いを聞き逃さない。行政として本人ミーティング実施のために、企画・運営・実施をどうするか悩んでいたが、認知症デイの様子をみて、ここに毎日集ってるやん!特別な事をしなくても、ここがまさしく本人ミーティングの場になっている。本人ミーティングってこれだ!と気付き、活動が発展していく様子を記録。

地域を巻き込んでいく様子が映像から伝わってきます。

最後に、御坊市がめざしている地域は、認知症になってもだれもが地域の一員として役割を持ち活躍できる地域です。そのような地域は、行政や医療介護の専門職だけでは実現できません。主役は地域に住む住民です。これまでの「支援する側、される側」という立場ではなく、「ともに生きる」社会の実現を目指します。と結ばれました。

確かに主役は地域の住民です。ただ、大切なのは、御坊市のように、そこに、行政がどうかかわり、コーディネートするのか。本人本位をどこまで親身になって受け止め、地域にある資源とつないでいくのか、そこが決定的だと思いました。川崎のような大きな都市でどうつくっていくのかがまさに問われていると思います。一貫して関わってきた介護福祉課の地域支援係長さん(直営で運営される地域包括支援センターの職員さん)は、確かに、行政が出過ぎても行政にやらされている感が強くなって失敗した事もありますと言われていました。映像でみたむつみ会の取り組みは、実は行政はほとんど入っていないんですといわれましたが、仕組んでいったのは行政だと思います。

また、質疑の中で、認知症カフェも、本人にとっていろいろな事を何度も聞かれ、苦痛になったり、窮屈になったらだめで、肝心なのは、ご本人が自然に安心して楽しいという本人本位の会でなければならないと思う。また、地域ぐるみで安心見守り活動を行って困っている方を見かけたら声をかけましょうという活動についても、ご本人が全く知らない方に声をかけられて、困っている事を伝えられるでしょうかという側面がある・・と話され、なるほど、そういう視点もあるんだと思いました。

今、川崎でも地域づくりが行われ、さまざまな取り組みがされています。これも地域だけで担うのは大変で、やはり、そこに行政の親身な関わり、コーディネートし、つないでいく役割がもとめられると思います。

同時に介護が必要になった時、介護度が進んだ時、あるいは突発的な対応が必要になった時、家族だけでは担いきれない事が周囲でたくさんみられ、相談も寄せられます。いつも思いますが、安心して介護や医療がうけられる体制をもっとそして急いで充実させる事がもとめられています。