キッズゾーンの設置など園児の交通安全対策について【特別委員会質問その1】
12月13日の社会問題対策特別委員会で、上記の件で質問しました。この質問の準備中の9日、愛知県で、住宅地にある信号のない交差点で歩道がない場所で、散歩中の列に乗用車が突っ込み園児7人が軽傷を追う事故がまた発生し、胸を詰まされました。以下は質問と答弁の要旨です。県議会の中継動画がアップされています。
キッズゾーンの設置など園児の交通安全対策について
2019年5月に滋賀県大津市で、散歩中の園児らの列に車が衝突し、園児2人が死亡、園児11人と保育士3人が重軽傷を負った痛ましい事故から2年半経ちました。大津市は滋賀県警などと保育施設の散歩コースや小学校の通学路の一斉点検を実施。市内162の保育施設の周辺498箇所に路面を色付けしてドライバーに注意喚起する「キッズゾーン」を設けたとのことです。
国がキッズゾーンの設置を全国に通知、
事故を受け、全国で保育園周辺の道路の危険箇所の点検が行われました。
内閣府と厚生労働省は2019年11月に保育園施設等の園児の安全を確保するための「キッズゾーン」の設定の推進について、都道府県などに通知を発出した。市町村などが保育施設、保育担当部局、道路管理者、都道府県警察と協議の上、キッズゾーンを設定し、キッズガードの配置、路面塗装による注意喚起など、具体的な交通安全対策を検討するとした。キッゾゾーン創設にあたっては警察庁や国土交通省から都道府県警察、および各道路管理者に対しても通知が出されている。
今年1月の新聞報道では、大和市が保育園施設周辺の道路で、散歩などの園外保育が日常的に行われ、道幅が狭く専用歩道がない箇所にキッズゾーンとして整備する方針を発表。1月末までに大和駅に近く半径500mに10の保育園がある「やまと公園」周辺の3地点で設置し、2021年度以降に残り7地点を整備するとしている。
県内の保育園団体からも、散歩時や登降園時に、保育園があることをドライバーに知せるために、キッズゾーンを早急に設置してほしいとの要望が寄せられている。大津市の事故のあと、神奈川県では警察、自治体の道路管理者、保育施設と合同調査を実施したと聞いた。
【質問1】
事故の後の合同点検の結果、内容を伺う。
【答弁】
2019年6月に国から通知を受け、県内の保育所などを対象に交通安全点検を実施した。保育所自らが散歩など園外保育時に移動する経路について点検し、交通安全上の危険があると認められる箇所を抽出した。この自主点検の結果、危険箇所について、施設が独自に対応可能であったり、すでに改善の計画がある箇所を除いた1,624カ所について、保育所等の施設、市町村保育等担当部局、道路管理者、地元警察が合同で点検を行った。合同点検の結果、対策が必要とされた箇所が全体で1,200箇所となっている。
【質問2】
調査の結果、どのような改善を、何件行ったのか伺う。
【答弁】
令和2年4月時点の国の調査結果によると、合同点検の結果、対策が必要とされた1200カ所のうち対策済みは530カ所。
対策として車止めの設置など道路管理者による対策が114件。横断歩道の再塗装など警察による対策が39件、移動経路の変更の施設による対策が387件となっている。
【質問3】
園庭が無い保育園が大変増えている。子どもの成長発達には園外へのお散歩は欠かせない。私の地元川崎市では、認可保育園が395園あるが、そのうち園庭がないのが136園、34,5%、3園に1園が園庭がない。公園までの往復中、交通事故から子供の命を守るための保育士の負担は図りしれないものがある。いくら保育士が十二分に気をつけていても突然の事故に巻き込まれる危険と隣り合わせで出かけなくてはならない。
キッズゾーンの設置が必要と考えるが、見解を伺う。
【答弁】
保育所における園外活動は子どもがみじかな自然や地域社会の人々の生活に触れ、豊かな体験を得る機会を設ける上で、非常に重要であると考えている。
その上でキッズゾーンの設置についても、車止めの設置や横断歩道の再塗装と同様に園外活動における交通安全対策の一つの手法として有効であると考える。
そのため、県ではこれまでもキッズゾーンの設置に関する大津市などの先行事例の情報収集を行い、市町村間の情報交換の場を設定するなど、設置の主体である市町村の支援を行ってきた。
【質問4】
大和市が選定した場所は、500m範囲内で複数の保育園から散歩によく行く公園の周辺で、道幅が狭くて専用歩道がない場所などを点検の結果選んでいる。危険な箇所を選定し、計画を立てて進めることが必要と思うが伺う。
【答弁】
実際に交通安全対策としてキッズゾーンの設定を行うかどうかは、個々の保育所の周辺状況を勘案して市町村が道路管理者や警察と協議していただく事になる。現在のところ、市町村からは保育所の数が多いので、小学校のスクールゾーンと重複してしまうとか、密集しているところでは、周辺全体がキッズゾーンになってしまって、効果が期待できないといった、設置によって交通に支障が生じてしまう課題があり、なかなか進められないという話を伺っている。
大和市の場合は公園の周りということで、キッズゾーンに適した箇所を探して可能な場所を設定していると承知している。
県としては、必要に応じて大和市の選定方法や設定事例の市町村への情報提供などを通じて、市町村の取り組みを支援して参りたい。
【要望】
つい先日の9日にも、愛知県で、住宅地にある信号のない交差点で歩道がない場所で、散歩中の列に乗用車がツッコミ園児7人が軽傷を追う事故がまた発生した。
今回、この問題の質疑にあたって、保育関係者に聞き取りをしたが、すぐ近くの横断歩道で減速する車が少ないのと、停車してくれない車が大変多く、本当に危険と言っていた。ドライバーのマナーの啓発についても関係機関と連携を取りながら是非、強化してほしい。
11月に国が発出した通知では、都道府県や指定都市、中核市の保育担当部局に向けて、内閣府と厚生労働省がキッズゾーンの設定の目的や手順、留意事項などをまとめ、理解や検討を求めていると聞いている。
先ほどの答弁で、市町村ではスクールゾーンと重複するところもあるし、保育園がたくさんあってなかなか進められないとのこと、そういう条件も多々あろうかと思うが、保育園児を連れて、こどもの成長発達に欠かせない園外保育、お散歩に行くというのは、保育士が命がけで出かけていると言っても過言ではない。保育補助者をつけていただいているのはわかっているが、その保育補助者の確保も現場では難しいという声も聞いている。是非、キッズゾーンの設置も保育部局が中心になって関係する機関と協力しながら、前に進めていただくことを要望する。