日本共産党
前神奈川県議会議員

石田 和子

いしだ かずこ
くらしと平和 希望ある未来へ
石田 和子
ブログ

「当事者目線の障害福祉推進条例」に障害者権利条約の理念盛り込まれる!

2022年10月8日

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「当事者目線の障害福祉推進条例案」は、今定例会に提案され、委員会採決を経て、本会議で10月14日に採決されます。私は、これまで、条例素案について、厚生常任委員会で7月12日に質問、7月15日に意見発表を行い、第3回定例会で提案された条例案については9月13日の代表質問で質問しました(ブログで既報7/28、7/29、9/13)。

10月3日の厚生常任委員会では、提案された条例案に、私が修正を求めた重要な点がいくつか修正されましたので、その点をまず述べてから、残された課題について質問しました。

すでに動画が配信されています。以下は、議事録ではありませんがどうぞご覧ください。

●障害者権利条約が盛り込まれ、いくつか義務規定に修正されました。

素案を審議した7/12の常任委員会で私が修正を求め、条例案に盛り込まれたことは以下です。

前文に、障害者の人権や社会の一員としての尊厳を持って生活する権利の実現を謳っている障害者権利条約と障害者差別解消法の理念を入れることを求めた結果、前文に反映されました。

条文の肝にあたる部分のいくつかが努力規定であったが、努力規定では弱い。義務規定にすべきと求めた結果、以下、義務規定に修正されました。

1、障害を理由とする差別・虐待の禁止」は素案は「当事者目線の障害福祉の増進を妨げてはならない」とわかりづらかったので、明確に禁止とすべきと求めた結果、「何人も、、、尊厳を害する行為をしてはならない」と明確に規定されました。

2、「障害を理由とする差別に関する相談、助言等」についても、素案では「相談体制そのほか必要な体制の整備に務めるものとする」と努力規定であったので、「障害者差別解消法14条には、必要な体制の整備を図るものとするとある。努力規定では弱い。法の趣旨に照らして『整備を図るものとする』とすべき」と求めた結果、「必要な体制を整備するものとする」と義務規定になりました。

3、人材確保のところも努力規定だった。私は「財政上の措置に努めるものとする」と努力規定であったので、条例を推進、実行するには、不足している基盤整備、人材確保、メニューの拡大がないと支援は厳しい実態があり財政の裏づけが必要である。「財政上の措置を講じる」と義務規定にすべきだと求めた結果、人材確保は義務規定となった。

以上、修正の提案を受け入れていただいたことは評価するが課題となっているいくつかの点を質問する。(要旨)(矢印は答弁要旨)

「8条・基本計画の策定」では、基本的な計画を定めなければならないと責務規定になっている

どのようなことを考えているのか。現在策定されている「かながわ障がい者計画」は令和元年度から5年度までの計画、「神奈川県障がい福祉計画」は、令和3年度から5年度までの計画だが、この二つの基本的な計画との関連性はどうなのか伺いたい。

→・規定する計画については、障害者基本法に基づき策定している「かながわ障がい者計画」と、障害者総合支援法に基づき策定している「神奈川県障がい福祉計画」との整合性を図ることが必要であり、どのように計画を策定するか検討していく。またこの二つの計画には、当事者目線の障害福祉の理念について反映させていくことになる。9条において計画に定める施策を規定しており、生活する上で関係する分野を広く計画に盛り込んでいく。障害当事者や支援団体などの皆さんと丁寧に意見交換しながら検討を進める。

独自の数値目標を立てるのか。

障害福祉計画には独自の数値目標、サービス供給量などが書かれているが、この条例の目指すことを考えればサービス供給量などをきちんと盛り込み、増やしていくべきと考えるがどうか

規定する計画についてはどのような計画を策定するか、また独自に数値目標を立てることについても合わせて検討していく。

「13条・障害を理由とする差別に関する相談、助言」について

県は、「障害を理由とする差別に関する紛争の防止又は解決を図ることが

できるよう、相談体制その他必要な体制を整備するものとする」とあるが、

「相談体制」とはどのような体制を作るのか。「その他必要な体制」とは何か。

今回の条例案には、差別を受けた場合の相談ですとか、紛争解決に関する規定を盛り込んでいて、相談窓口の機能強化とともに、紛争解決を図るための体制整備などについても検討を進めていく。

グループホームの整備に対する反対運動が起こったことがあったが、そのような時にはどのような対処をしていくことになるのか

基本的には第7条に事業者の責務として地域住民などとの連携に努めると規定しているので、事業者の責務だが、なお厳しい時には、13条では、差別に関する相談を受けた時は、必要に応じて講ずる措置として「あっせんを行うこと」を規定しているので、条例に規定する仕組みも活用し解決を図ることも検討する。

差別にあった時の「救済」の体制、仕組みについて伺う

相談対応だけでは解決が図られない事案については、差別を行ったとされる側と、差別を受けたとする側の、双方の関係者から意見を聴取し、第3者的な立場からあっせんを行い、紛争の解決を図るそうした体制の整備などについて検討を進めていきたいと考えている。

「18条・障害福祉に係る政策立案過程への障がい者の参加の推進」について

「「県は障害者の福祉にかかる政策の立案に関する会議の開催にあ

たっては、障害者の参加を推進するものとする」とあるが、遠回りで分かりずらい。福祉にかかる政策の立案とは、どのような内容を想定しているのか。計画策定も入るととらえていいのか。

障害者に福祉にかかる政策の立案ですが、「医療」「雇用・就労」「教育」「住宅」といった当事者の生活にかかる様々な分野を想定しており、計画を策定する会議についても、はいるものと考える。

計画策定委員会のような会議を設けるべきではないかと考えるが伺う。

どのような形で計画を策定して行くかについても検討させて頂きたいと考えている。

今回提案されている「みんなのバリアフリー街づくり条例案」の中に、

施設整備の計画段階から、 障がい者の参画を得て整備を行って行くと明確に規定されていて、 計画段階から、参画すると位置づけられているが、こういうことも考えて行くということで良いか伺う。

委員、おっしゃる通りです。

「26条・人材の確保、育成など」について

① 1項で、「県は人材の確保」を義務規定にしたことは評価する。これは県の基本計画にしっかりと入れるべきと思いますが、どのように入れるのか伺う。

当事者目線の障害福祉の推進にあたりましては人材の確保、育成は非常に重要な項目と考えている。条例で規定する基本計画に、人材確保についてどのように規定するか検討していきたい。

② 2項で、「県は、従事者の職場への定着を促進するため、就労実態の把握を行う」としていますが、 就労実態の把握はとても大切だと考えている。実態把握はどのように行うのか伺う

→各障害サービス事業所への調査方法など、具体的にどのように行って行くか、今後、検討していきたいと考えている。

附則の、「5年を経過するごとに、この条例の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする」について

いわゆる見直しをするということだと考えるが、どのような方法で検討するのか、どのような検討体制を設けるのか伺いたい。

具体的には今後の検討となるが、障害当事者、関係団体などの意見を伺って、それらを踏まえながら見直しの検討を進めていくことになる。

予算措置について

実効性を担保するには、どうしても予算措置に頑張ってもらわないといけない。毎年度財政部局との調整の中で計画を進める必要があるということを先行会派の答弁であったが、予算措置に向けての当局の姿勢を伺う。

毎年度財政当局との調整となるところではあるが、この当事者目線の推進に必要な施策について、しっかりと計画的に進めていきたいと考えている。ただ、限られた財源というのがあるので、その中で着実に進めていきたいと考えている。

石田

推進に必要な施策を計画的に進めていくために、予算の方は頑張っていくというふうに捉えさせていただく。障害者の皆さんや県民の皆さんが注目している。実効性のあるものするために、検討事項がまだまだあるが、質疑してきた点を踏まえしっかり進めていただくことを要望する。

最後に

全体的に、今後検討するという答弁が多かったが、共産党県議団が主張し、提案してきた重要なことがだいぶ受け入れられ、条文に反映されたと考えます。

「私たちのことは私たち抜きに決めないで」という障害者権利条約が前分に盛り込まれたことは大きいと思います。

条文は参加のままで「参画」にされなかったのですが、計画段階からの当事者の方々の参画について、みんなのバリアフリーの街づくり条例のように明確に参画が条文化されたものもあり、今後そういうことも考えるとの答弁がありました。

差別に関する条文に「何人も尊厳を害する行為を行なってはならない」と修正されたこと、紛争の解決に「あっせん」が入ったことも大きいと思います。

財政措置も義務規定にして欲しかったのですが、計画を推進する際にしっかり確保するよう求めて行きたいと思います。今後も引き続きがんばります。質疑した内容などについてぜひご意見をお寄せください。

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